えええっせい

えっせいです

AIコールセンター:私はイ・セドルと同じ世界を見ている

 世の中にある無慈悲な物。就活のお祈りメールなんかは無慈悲の最右翼で、エントリーシートとかをばっちり書き込んでも、サクラチルツギニキタイ(意訳)の一本で済まされてしまう。あれは無慈悲ですわ。

 そんな中で、世の中に突如最先端の無慈悲モンスターとして現れたのが、楽天の誇る「AIコールセンター」だ。いや、そんな呼び方しているのかどうかは分からないけど、多分していないだろうけれど。何を言っているのかというと、最近楽天カードの払い込みが滞るとAIによる自動音声が電話を掛けてきて、催促してくるというお話しである。私はお金が全くない、というわけではないのだが、楽天カードの決済が私のメイン口座とリンクしていないらしく、毎回はがきで「払ってくださいね(はぁと)」みたいなのが、送られてくるわけだ。そういうわけで、楽天カードはめったに使っていないのだけれど、たまに何かの間違いで使ってしまうことがある。そのたびに、そういう手紙が送られてくるわけだ。

 ところがどっこい、そんな手紙を貰ってもなかなかどうして支払う気にはなれない。なぜって、コンビニまで手紙をもって足を運ぶのが、ちょっとだけ面倒だから。いつでも出来る仕事って後回しにしがちじゃあないですか。アレと同じ。

 昔は楽天カードのコールセンターのおばさまがご連絡してくれた、と思っている。確かそんな気がする。少なくとも、技術の進歩がこれほど進む前は人力でやっていたのは間違いない。

 ところが今は21世紀にもなってウン十年、というところ。世の中のあらゆる仕事はAIに代替される。ヌクモリティは失われてゆくのである。みんな効率重視になってしまうのよね。いいことだよ。

 ところがそこで生じる機械音声の無慈悲なこと! 初めて電話を受けたときはそれはもう驚いた。自分でお客様問い合わせサービスに電話を掛けてたらいまわしにされたことは数多かれど、向こうから電話がかかってきて自動音声というのは驚いたね。

 朝の9時くらいだっただろうか。知らない番号から電話。

「はいもしもし」と受け取る。知らない番号には名前を名乗らない主義、それが私の主義だ。一瞬の間があり、「コチラハ ラクテン カード オキャクサマ センター デス。カワシマ ヨシコ(仮名)サマ デスネ。オマチガイナケレバ 1 ヲ オシテクダサイ」とかそんな電話が掛かってくるワケですよ。いやー驚いたわよ、そりゃ。最初なんか驚き過ぎて、「コチラハ ラクテ」ぐらいでがちゃっと切ってしまった。機械の友達はまだいないから。こういうこと書くと、50年後とかには機械差別だ! とかになるんだろうか。多分なるんだろうな。

 それからというものの、私のスマホには彼(彼女?)からの着信が続いた。そりゃあそうだ。向こうは機械なんだから、自動で掛けられるに決まっている。セールスの撃退は得意中の得意なのだけれど、相手が機械では籠城戦も耐久戦も効果は無い。仕方が無いので、不在着信の数がメンタルがヘラっている人の数になろうかというところで受話器を取る(表現古いな!)。

 前述のやりとりがあり、1を押す。「カクニンノタメ セイネンガッピ ヲ ニュウリョク シテ クダサイ。タトエバ ジュウガツ ニニチ ウマレノバアイハ イチ ゼロ ゼロ ニ ト ニュウリョクシテ クダサイ」「0215(仮)」「アリガトウゴザイマス カクニンガ トレマシタ。カワシマ ヨシコ サマ ニ オマチガイアリマセン。ラクテンカード ノ シハライガ オスミニナッテイマセン。イチ マン ニ セン ロッピャク ゴジュウ ナナエン ノ シハライガ アリマス。シハライ ノ ハガキ ガ トドイテオリマシタラ イチ ヲ ソウデナケ」「1」「アリガトウゴザイマス。ジュウガツ ナノカ マデニ オシハライ デキソウナラ 1 ヲ、ジュウガツ トオカ マデニ オシハライガ デキ」「1」「アリガトウゴザイマス。ソレデハ ジュウガツ ナノカ マデニ オシハライイタダケルトノコト ウケタマワリマシタ。 アリガトウゴザイマシタ」と言って彼女から電話を切られた。虚脱感に包まれた。こういうのはもう絶対にしたくない、虚無とのやり取りなのでさっさと支払おうと思った。

 それでも、もう一度電話はかかってきた。なぜって、私が支払わななかったからである。こたえたので、電話は直ぐ切って、コンビニに直行した。機械は強い。囲碁のトッププロを引退したイ・セドルの気持ちがよくわかった。今私は、イ・セドルと同じ世界を生きている。

 結論から言うと、滞納っていうのは自分含めいろんな人の精神を蝕むので、そういうのはやめましょうってコト。優等生的な結論に落ち着いてしまった自分を責めたい。