えええっせい

えっせいです

早熟:掘らなくてもよいものもある

 サンタクロースを親だと見切ることが出来たのは、同級生よりも大分早かった。不必要に大人びていたので、その見切ったことを「同級生に伝えてはいけない」ということまでバッチリ把握していた、という嫌な小学生だったはずだ。

 方程式でつるかめ算を解いたら何故怒られるのかも把握していた。中学受験のため塾に通っていた同級生が、方程式を使って担任の先生にボッコボコに怒られていたのを横目で見て、「アホやな~」と思っていた。もちろん私は何も言わなかった。最後、先生は露骨に激昂し、「じゃあこれも解けるか!!!」と言って二次方程式のような問題を次々に繰り出していて、よほどそっちのほうが大人げなかった。私は何も言わなかった。

 そんなわけで同級生からも浮くこと無く、こいつらアホやなと思っていた。そういう極めていけ好かない小学生であったが、そんな私も中学、高校につれて完全にアホの仲間入りを果たし、気が付けば高校三年の段階で、全国偏差値が40程度というまごう事無き、完膚無きアホ(この場合は、学力が低いという意味で)の仲間入りを果たしたのであった。

 そのさなか、決定的なエピソードがあった。

 中学生の頃、サラリーマンNEOというコント番組が大流行りしていた。早熟な私は大して反抗期もなかったので、親と一緒にその番組を見ていたのだが、そこで「大いなる新人」というコーナーがあった。ざっくりと説明すると、平泉成(今も昔も、彼は大御所の役割だ)演ずる老けすぎている新人が、あまりにも新人らしくない言動で社内外を混乱させる、というコーナー。

 それを見て私は混乱した。混乱した私は母に聞いた。

 「ねえお母さん、これって「マジ」でやってるの?」

 「うーん、そうかもねえ。でもそうじゃないかもねえ」

 これを聞いた時、母は愕然としたと思う。何故って、早熟で、比較的優秀だと目していた我が子が、中学生にもなって「コントと現実」の区別が全くついていなかったのだから!

 結局、コントと現実の区別がついたのは高校生のことだった。早熟で、ウルトラマン戦隊ものをほとんど見ないで過ごしたのがアダとなったか……。トカゲのおっさんでもテレビでやっていてくれればよかったのに!(あれくらいなら、多分区別はついたはずだ)

 ……と、ここまで書いて、最悪の記憶が噴き出してきた。早熟繋がりで。

 確か小学校四年生ぐらいの頃だったと思う。漢字の練習で、「ここは絶対ハネなきゃだめですよ」という指示があった。我々生徒は「はーい」と言って、その指導に丁寧に従った。とても良い、統率の取れたクラスだった。

 そんな中、私は先生の指示をしっかりと理解した上で、おおよそ20個に1つ程度の確率でハネてない漢字を紛れ込ませた。そして花丸をくれた先生に対して、最後に「センセイ、ちゃんと見てくださいよ」……。

 あああああ中村先生(仮)申し訳ありません。今この場で謝罪したい。教員免許も保有している今、そういうクソ面倒な生徒が、無邪気で年相応な生徒よりも数億倍面倒なことにようやく気が付いたのです。先生を試すのは生徒として終わっているとか、そういう道徳的なことではなく、ただただ「こいつクソ面倒だな……」と思わせてしまって、その負担が申し訳なかった……っ! 今はただ、あなたの度量の広さに感服しています。何故笑って許してくれたのか……私なら秘儀「職員室に帰る」を絶対使っていると思う……。

 良い先生だったなぁ、中村先生(仮)。確か私が在学中に妊娠して、育休を取られたことまで覚えているが……今は何をしているんだろうか。

 と、いう思い出したくないことまで思いを馳せてしまうので、記憶を掘り起こすのも考えものである。